抱瓶

 金城次郎のつくる抱瓶(ダチビン)は、大少あるが、轆轤でひいてつくられているものが注目される。轆轤で円筒形のものをひいてそれを二つに切って、一方を反転させてつないで、断面が三日月形になるようにして、抱瓶の胴部をつくるのである。このため壺屋時代の金城次郎の抱瓶は、大小、高さもさまざまである。胴部には横に轆轤の指跡が残っているのも大きな特徴である。イッチンのもの、緑釉(オーグスヤー)のもの、線彫り海老文のものなど、加飾法はいろいろである。
 金城次郎の抱瓶は、轆轤形成のために、形自体がダイナミックである。今日では、石膏の型によって成形される抱瓶が多いので、大きさ、形が規格化されている。円筒形をまず轆轤でひくという作業は、伝統的な赤瓦の成形を想起させる。    
 今日では酒器として用いられているものはごく小さいもので、多くは観賞用、飾り物として求めらる。本来は、酒(泡盛)を入れて、屋外での宴会に用いられたといわれる。それゆえに、胴部に耳があって、紐を通して肩から下げて、腰の部分に当てて携行したとされる。